CROSS TALK

師弟対談

About this talk

技術と熱意を繋ぐ、師弟のリアル

キネマシトラスには、未経験からプロフェッショナルを育てる確かな土壌があります。
今回は、最前線で作品を支える動画検査の樋口さんと、
その背中を追いつつ原画試験へと挑戦を続ける動画の郡さんによる「師弟対談」を敢行。
日々のデスクでの技術のやり取りから、お互いの信頼関係、
そして一本のフィルムにかける職人としてのこだわりまで、
等身大の言葉で語り合ってもらいました。

動画検査

樋口 蒼

動画

郡 英寿

Question 01

お互いの最初の印象はどうでしたか?

樋口(動検)
郡さんは「ぎふとアニメーション(キネマシトラス子会社)」での腕を買われての入社と聞いていたので、最初から、きっと優秀な人が来るんだろうな、と期待していました。席が対面(真後ろ)に近かったこともあって、早くからよくコミュニケーションが取れていましたね。周りが女性陣の多いセクションだったこともあり、男同士、一番話しやすいポジションになれた気がします。
郡(動画)
本格的に机を並べて、「わたしの幸せな結婚」の第23話や第26話などの作品を一緒にやらせてもらうようになった時、とにかく、随分話しやすい先輩だな、というのが第一印象でした。親しみやすく、質問しづらいな、聞きづらいなと思ったことは一度もなくて、本当に最初からありがたい環境でした。

Question 02

リテイクに関するエピソードは?

郡(動画)
この対談の前に、これまでのやりとりの履歴やリテイクデータを色々調べて遡ってみたんです。でも、樋口さんからガッツリとリテイクをもらったという記憶や記録が全然見つからなくて。というのも、自分が作業していて少しでも気になることや不安があったら、リテイクになる前に、その場で直接樋口さんのところに聞きに行っちゃっていたんですよね(笑)。
樋口(動検)
そうそう、リテイク前の段階で聞きに来てくれていました。だから僕も、郡さんから質問された箇所を説明するだけじゃなく、ここの処理を直すなら、同時にこういうリテイクが起こりやすいから対策しておこう、と、先回りしてプラスアルファのコツをセットで説明するように意識していました。リテイクになる前に現場で解決していく、良いサイクルができていたと思います。

Question 03

早く、綺麗に描くという動画特有の壁にぶつかったとき、どうしましたか?

郡(動画)
僕はもともと、作画スピードが結構遅い方で悩んでいたんです。いろんな先輩にアドバイスを求めたのですが、デジタル作画ならではの、画面を拡大しすぎて迷子になる罠を何とかしなきゃダメだよ、と指摘されて。部分的なドットばかりに囚われて、全体の線の流れが見えなくなっていたんですよね。
樋口(動検)
僕自身もこれをやれば劇的に早くなる、という魔法のようなメソッドがあるわけではないんです。ただ、郡さんにもよく言っていたのは、とにかくミスを減らそう、ということ。拡大しすぎずに全体で線を捉えてミスを減らせば、僕ら動検から戻ってくる(リテイクの)頻度が減る。戻りがなくなれば、自然とこなせる動画の枚数は増えていくよ、と伝えていました。オリジナルアニメ『さよならララ』の時の二値ペンでの線の引き方など、点ではなく全体で追う感覚を掴むまでは泥臭くやるしかない部分ですね。

Question 04

今後のステップアップを見据えて、
今の段階から意識して伝えていることはありますか?

樋口(動検)
キネマシトラスに入ると、基本的には全員が最低でも1年は動画を経験します。業界内では、動画の期間は本当に必要か?という議論が今なおありますが、やるからにはその1年から何かを絶対にくみ取ろうという意識を持ってほしい。ただ原画を綺麗になぞるだけの作業者になるな、ということです。この原画は何でこんなに作業しづらいんだろう?と思ったら、中割りへの配慮が足りないとか、合成がしづらいとか、必ず理由がある。それを動画の段階で分析・連想できるようになってほしい。
郡(動画)
まさに今、その重要さを痛感しています。自分が将来原画になった時に、誰が動画を担当しても綺麗にトレスできて、クオリティを上げられる原画を描けるようになるためには、今の動画の時期に素材を細かく読み解く力を養うしかないんだなと、お話を聞いていて深く刺さりました。

Question 05

動画や動検の仕事をしていて、
一番やりがいや達成感を感じる瞬間はいつですか?

樋口(動検)
やっぱり、白黒の線画だったものに色がついて、映像として繋がって、徐々に一本の作品として完成していく過程を見られるのは最高ですね。動検の仕事の本質って、演出や演技という素晴らしい表現にしっかり読者の目が向くように、画面から余計なノイズを取り除くことだと思っています。ラッシュ(映像チェック)を観た時に、ノイズが一切なく綺麗にキャラクターが生き生きと動いていると、強い達成感があります。
郡(動画)
僕は動画として、やっぱり自分の引いた線で動きが完璧に繋がった瞬間ですね。『盾の勇者の成り上がり』などのアクションカットやバトルシーンなど、自分の動画としての裁量や線の繋ぎ方次第で、動きが滑らかに、格好良くなるかどうかが決まるような手応えのあるカットをやり遂げられた時は、本当に面白いなと感じます。

Question 06

キネマシトラスの作品づくりにおいて、
動画セクションで特に「こだわっていること」は何だと思いますか?

樋口(動検)
自分が誰よりも良い絵を描いて目立ってやる、というスタジオもあるかと思いますが、キネマシトラスの場合は、みんなで、組織全体で作品を良くしていこうという意識が強いです。教える側に回っている人間も、後輩が育ってくれれば安心できる打席が増えるから、惜しみなく持っている技術をすべて教える。僕自身もそうやって先輩に育ててもらったので、そのバトンをそのまま郡さんたちへ繋ぐ文化がありますね。
郡(動画)
それは日々の線の美しさや素材の状態、データの綺麗さにも表れていますよね。ただ自分の担当カットを終わらせるのではなく、綺麗な状態で、次のセクション(仕上げや撮影)へ気持ちよく渡そう、という全体での連携意識が、キネマシトラスのこだわりであり誇りだと思います。

Question 07

教える立場として、逆に後輩の姿勢から刺激を受けたり、
学んだりすることはありますか?

樋口(動検)
僕が正式に社内の動画検査になりたてだった頃のエピソードが印象に残っています。当時ぎふとアニメーションの後輩だった方が、すごく手間のかかる複雑な動画カットを担当していたにもかかわらず、月700枚という圧倒的な数字を叩き出していたんです。動検になるとついクオリティの管理ばかりに頭がいきがちですが、その圧倒的な枚数へのハングリー精神やストイックさを目の当たりにして、自分も負けていられない、もっと枚数にもクオリティにも貪欲にならなければ、と強烈な刺激を受けました。郡さんたちの上手くなりたいという姿勢からも、いつも初心を思い出させてもらっています。

Question 08

これまでに言われたことで印象に残っている言葉はありますか?

郡(動画)
原画試験に挑戦しているのですが、なかなか通らなくて、周囲と比べてすごく焦って落ち込んでいた時期があったんです。そのときに樋口さんや、(取締役の)高倉さんから「そんなに焦らなくていいよ。最初から完璧に受かる人なんてほぼいないんだから(笑)」と言ってもらえて。一発で受かったのは今まで一人くらいだよ、とリアルな時間軸も教えてもらったことで、致命的に落ち込まず、肩の荷が下りて、よし、次に向けてしっかり力をつけよう、と前を向くことができました。

Question 09

動検・動画で一番大事だと思っていることはなんですか?

樋口(動検)
動画は、作画セクションにおける最終画面(フィルムにそのまま乗る最後の線)である、という強い意識を持つことです。原画マンがいくら素晴らしい情熱的な線を引いても、動画の線が死んでいたら画面にはそれがそのまま映ってしまう。原画の線のニュアンスや熱量を劣化させずに、いかに綺麗にすくい取って次の仕上げセクションに繋げられるか。その職人としての責任感が一番大事です。
郡(動画)
同感です。原画さんが魂を込めて描いたものを絶対に劣化させたくない、という強い気持ちですね。自分たちの引いた線が、作品の最終的な画面の美しさを左右するんだという誇りを持って、良い形で次の工程へバトンを繋ぐことが、僕たちのセクションで最も大切な哲学だと思います。

Question 10

最後に、これからキネマシトラスに応募する方へ、
どんな人に来てほしいですか?

樋口(動検)
自分なりに、アニメーションにどう関わりたいかという明確なビジョンや目的意識を持っている人ですね。実は、僕自身が最初に入社したとき、そういう明確なビジョンがあまりなくてすごく苦戦した経験があるんです(笑)。だからこそ、不器用でもいいのでこういう絵を描きたい、この作品に関わりたいという強い目的を持っている人は、キネマシトラスで一気に伸びると思います。
郡(動画)
僕自身、入社するときに、自分にアニメーターとしての適性があるかなんて全く分からなかったし、自信があったわけではありません。でも、この世界に飛び込んでやりたいと思って食らいついていけば、周囲が全力で並走して引き上げてくれます。やりたいという強い情熱そのものが、この仕事における一番の適性だと思うので、恐れずにぜひチャレンジしてほしいです!

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